もうすぐ『星の王子様』

以前の記事でお知らせしました音楽劇『星の王子様』、いよいよお披露目の日が近づいています。

言いようのない胸の高まりを感じています。

いつもなら演出ノートに自分の思考の弁証(?)のようなものをグダグダと書いているのですが…今回は敢えて具体的なことは書きませんでした。その代わり、プログラムには選んだ声楽曲の「歌詞大意」なるものを挟み込んでいます。

「どうしてこれらの曲がこの場面に選ばれているのか」に対するお客さま各々の答えが、そのまま「演出ノート」になるのではと思ったからです。

 

ドラマ全体のテーマのように扱っているプーランク《愛の小径》etc.を歌うのは、王子様が忘れずにいる「薔薇の花」を演じる原千裕さん。大学の先輩ですが、ようやく共演が叶いました♪響き豊かな声と演じるごとに高まってゆく表現には脱帽です。今回は素敵なコスチュームとメイクでさらに存在感アップ(!!)してご登場いただきます。

 

チラシのキャッチフレーズにもある「大切なものは、目には見えない」、この言葉が発された後のシーンetc.を託しているのは、テノールの高橋拓真君。この人と出会ってからオペラを演出することが格段に楽しくなった、そんな風に思わせてくれる若手歌手です。役作りへの貪欲さと舞台上での機転には助けられます。今回は敢えてオペラではない演目に誘ってみたので、各シーンでどんな舞台姿を見せてくれるのか、楽しみです。

 

王子様が「自分の星に帰ろう」と決意するまでのシーンetc.を託したのは、バリトンの木村雄太君。彼との出会いは江古田での《コジ・ファン・トゥッテ》ですが、彼のグリエルモがあまりに面白く人間味に溢れていたので、今回もお誘いしてみました。前述のシーン以外にも独特の役回りがたくさんありますので、どんな風に演じてくれるのか、わくわくしています。

 

つい涙してしまう、王子様と飛行士の別れのシーンetc.を託しているのは、テノールの森谷健太郎君。長いこと苦楽をともにした(!?)歌劇団Kamiteの代表でもあります。ぜひ彼には実はこよなく愛しているフランス歌曲を歌ってほしかったので、お誘いしてみました。前々からレパートリーにしてきた曲も、今回のためにさらってもらった新曲も、どのように歌い演じてくれるか楽しみです。

 

そして歌と併せて欠かせないのが、ダンサーのお2人による身体表現です。ダンスシーン全般の振り付けと、王子様をもとの星へと送り出す蛇etc.をお任せしているのは、打越麗子さん。私の漠然~~…なイメージを、意外なかたちで想像以上のものへと仕上げてくれる、アイディアあふれる素敵なダンサーさんです。蛇はいったいどこから出て来るのか、いつ出て来るのかetc.楽しみにご覧いただければと思います。

 

ダンスに加えて「大切なものは、目には見えない」の名ゼリフをお願いしているのは、井野口美沙さん。王子様と唯一地球上で仲良くなるキツネetc.を踊ってもらいますが、可愛らしい動作と軽やかなステップにはいつもキュンとしています♪稽古も毎回懸命に取り組んでいただいて、とても感謝しています。

 

こうした歌手やダンサーのパフォーマンスが、最大のものになるためには、土台で物語の時間を采配している器楽の皆さんの力が欠かせません。

 

オープニングの《小さな星》etc.ドラマの要所要所の大事なテーマ旋律をお願いしているのは、チェロの加藤菜生さん。劇中で繰り返し登場する旋律を、場面ごとにどのように弾き分けてくれるのか、とても楽しみにしています。

 

飛行士が王子様に導かれて井戸を見つけるシーンetc.心温まる場面を託しているのは、フルートの斎藤久美子さん。私が大学で出会った一番好きな曲、聴いたら涙の止まらない曲であるゴーベール《マドリガル》をどうしても入れたくて、台本にフルートを入れさせていただいたのですが…久美子さんもゴーベール大好きだということで、とても嬉しく思っています。

 

そしてこのプロダクションの最功労者とも言えるのが、ソロも歌伴奏も器楽伴奏も一手に担い、また王子役である凱君の練習にも根気よくお付き合いいただいている、ピアニストの植村美有さん。美有さんの音色はいつも、音楽や人への愛に溢れていて…それがどのように本番の舞台へと投影されるのか、楽しみでなりません。

 

ようやく主演のお2人の紹介に入れました(^^)

 

今回主役の王子様を演じてくれるのは、5歳の植村凱君。最初はこの可愛らしいけど大人な演目を彼にこなしてもらうには、どうするのが一番よいのだろうと悩みましたが、お母さん美有さんのご協力もあって、台詞もあっという間に覚え、稽古では誰よりも元気いっぱい。きっとこの現場に関わった全員が、彼から幸せをもらっているのではと思います。

 

そしてこのプロダクションの礎でもあり、物語全体の語り手でもある飛行士役の大寺亜矢子さん。いつも各シーンの稽古になると、時間に追われて彼女の素敵なところを口にする時間が限られてしまうのですが…凛とした立ち姿、舞台全体を見渡してのバランスの取れた演技、音楽へのニュアンスの合わせ方、素晴らしいなと思っています。舞台上の存在が自然で、違和感がないということこそ、とてもとても難しい。ぜひ彼女の飛行士を多くの方に見てほしいです。

 

それにしても……この演目と付き合える時間もあと少しだと思うと、自分が台本に著した言葉や演じ手にお願いした動きの奥に込めた、色々な想いが急に込み上げてきて、自分の選んだ歌の詞が急に胸を締め付けるようになってきました。そして私自身も「大切なことは、目には見えない」の意味が本当にわかってきた気がします。

 

5月11日と17日、私達の王子様に、ぜひ会いにいらしてください☆

『La TELaviata3 -星の王子さま編-』

 

原作/アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ『星の王子さま』

翻訳/内藤 濯

上演台本・演出/舘 亜里沙

 

日程/2018年5月11日(金)・17日(木) 19:00開演/18:00開場(途中休憩有り)

会場/STAR PINE'S CAFE(吉祥寺)

チケット/前売:¥4,000+1drink、当日:¥4,500+1drink

 

今もなお世界中の人々に愛されている物語。

今宵は、フルート・チェロ・ピアノが奏でるフランス音楽の調べにのせ、オペラ歌手が唄い、ダンサーが舞い、演じます。

あなたは大切なものが、見えていますか。

 

CAST➖

王子さま★植村 凱(子役)

薔薇★原 千裕(ソプラノ)

星の住人達★高橋 拓真(テノール)

星の住人達★森谷 健太郎(テノール)

星の住人達★木村 雄太(バリトン)

キツネ★井野口 美沙(ダンサー)

蛇★打越 麗子(ダンサー)

飛行士★大寺 亜矢子(俳優)

 

Musician➖

フルート★齋藤 久美子

チェロ★加藤 菜生

ピアノ★植村 美有

 

Program➖

C. ポンセ《小さな星》

F. プーランク《愛の小径》

G. フォーレ《夢のあとに》

H. デュパルク《旅への誘い》

P. ゴーベール《マドリガル》

J. マスネ《マノン》より〈私が街を歩けば〉

C. グノー《ロミオとジュリエット》より〈あぁ、陽よ昇れ!〉

サン=サーンス《動物の謝肉祭》より〈鳥かご〉

C. ドビュッシー《星の輝く夜》

M. ラヴェル《ハイドンの名によるメヌエット》

C. フランク《夜想曲》

E. サティ《優しさ》

ほか

 

企画・制作/art project LA TRAVIATA co.

予約・お問い合わせ/la.traviata.co.20160503@gmail.com